「お局様」とは
職場で「お局様」と呼ばれる存在――
「お局様」は妖怪の類ではなく一応みなさんと同じ人間です。
ある意味「妖怪」と言っても良いのかもしれません。
「お局様」になってしまう、その心理的背景には
個人の特性だけでなく、職場環境や集団心理の影響が大きく関わります。
本記事では、心理学的エビデンスを基に「お局様現象」を徹底的に読み解きます。
お局様の定義とその行動特徴
お局様とは…
長年職場に勤め、強い影響力を持ちながらも、新人や周囲に厳しい態度を取る人物を指します。
主な特徴は3点
- 過度な権威の主張
- 新人や後輩への支配的な態度
- 変化や新しい考え方への拒絶反応
あなたの周りにもこの様な特徴を持つ人がいるのではいでしょうか?…
これらの行動は、心理学的に見るといくつかの要因によって説明できます。
社会的地位の維持欲求:システム正当化理論
人は、自分が属する集団の中での地位を守ろうとする傾向があります。
これを「システム正当化理論(System Justification Theory)」と呼びます。
この理論によれば、お局様的な行動は以下の理由から起こります
- 長期間の勤務による既得権意識:長く勤めることで、職場内での特別な地位を獲得したという感覚が生まれます。
- 地位喪失への恐怖:新人や若手の登場によって、自分の価値や役割が脅かされると感じ、攻撃的になります。
特に年功序列や古い文化が根強い職場では、この傾向が顕著です。
集団内の優越行動:社会的比較理論
人は、自分の価値を測るために他者と比較します。
この行動を説明するのが「社会的比較理論(Social Comparison Theory)」です。
- 下方向の比較:新人や未熟な後輩を見下すことで、自分の能力や地位を再確認しようとします。
- 上方向の不安:有能な新人が登場すると、自分が評価されなくなる恐怖から排他的な行動を取ります。
ストレスと攻撃性の関連:認知資源モデル
お局様的な行動は、ストレスの影響も無視できません。
「認知資源モデル(Cognitive Resource Model)」によれば、ストレスが高い状況では理性的な判断が難しくなり、攻撃的な行動に繋がることがあります。
職場で感じるストレス要因には以下があります
- 業務量や責任の増加
- 自分のスキルや知識が時代遅れになる不安
- 個人的な孤独感や人間関係の不満
ストレスが増大すると、自分の感情をコントロールできず、他者への攻撃に転化されることがあります。
防衛機制としての行動:投影と同一化
心理学者フロイトが提唱した
「防衛機制」もお局様の行動を理解する重要な要素です。
投影:自分の不安や劣等感を他者に押し付けます。「あの新人は使えない」と批判する形で自分を守ろうとする。
同一化:かつて自分が新人だった頃の厳しい経験を内面化し、それを他者に再現する。いわゆる「負の連鎖」です。
防衛機制についての詳しい解説は過去の記事を参考にして下さい。あなたの心を守る仕組み「防衛機制」を超解説
職場文化が生むお局様現象:同調圧力と権力構造
お局様的な行動は、職場文化の影響も大きいです。
権威主義的な文化:トップダウン型の組織では、権力を持つ個人が強い影響力を行使する傾向があります。
同調圧力:集団内での孤立を恐れるあまり、他者に厳しく当たり自分の地位を確保しようとします。
お局様化を防ぐために:心理学的アプローチ
お局様的な行動を減らし、職場をより健全にするためには以下の対策が有効です。
1. キャリアの再評価
- 自分の役割や価値を「過去の貢献」ではなく「未来の可能性」で再定義する。
- 継続的な学びを通じて、新しいスキルを習得することで自信を取り戻す。
2. ストレスマネジメント
- 瞑想やリラクゼーションを取り入れ感情をコントロールする。
- カウンセリングを通じて自分の感情を整理する。
3. 健全なコミュニケーション
- フィードバックを受け入れる姿勢を養う。
- 後輩を育てる「メンター」としての役割に目を向ける。
4. 職場文化の改善
- 開放的な意見交換を奨励する。
- 年功序列ではなく実力主義を導入することで個人の不安を軽減する。
あなたも「妖怪」になり得る
「お局様」だ!「老害」だ!
そう言ってる人が、何年か後にそのような存在になってしまうことはよくあることです…
人は支え合うことで強くなります。
後輩の成長を応援することで、あなた自身も尊敬される存在になり、職場に温かい風を吹き込むことができます。
「変化を恐れることなかれ。変化は成長の鍵である。」
(ジョン・C・マクスウェル)
「お局様」という「役割」にとらわれず、新たな挑戦を受け入れることで、職場の人間関係がより健全になり、個人としてもさらに成長できるはずです!
最後まで閲覧いただきありがとうございました!
今回の記事があなたの役に立てば幸いです!
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