愛着の本質を探る残酷な試み
「母親の愛がなければ、人はどのように成長するのか?」
この問いに答えようとしたのが、心理学者ハリー・ハーロウです。
彼の実験は、愛着の本質を解き明かした一方で、その手法の残酷さからも議論を呼びました。
母性の代わりになるものは?
1950年代、ハーロウはアカゲザルを使った実験を行いました。
彼は、生まれてすぐに母親から引き離された子ザルに、次の2つの「代理母」を用意しました。
①ワイヤー製の母親(ミルク付き)
②布製の母親(ミルクなし)
普通に考えれば、ミルクをくれるワイヤー製の母親に愛着を持ちそうですが、結果は違いました。
子ザルたちは、ミルクを飲む時だけワイヤー製の母親に近づき、それ以外の時間は温かみのある布製の母親にしがみつき、安心感を得ていたのです。
「安心感」こそが愛着の鍵
この実験で分かったことは「愛着」は単に生理的な欲求を満たすものではなく「安心感」が重要な役割を果たすということです。
▶︎食物よりも「安心感」や「ぬくもり」が愛情形成に重要
母親がそばにいることで、子どもは世界を探検し、成長していく──これは後のボウルビィの愛着理論とも合致する発見でした。
愛がなければどうなるのか
ハーロウはさらに「母親のいない環境」で育ったサルがどのような影響を受けるのかを調べました。結果は衝撃的でした。
① 社会性の欠如:他のサルと交流できず、攻撃的または極端に引っ込み思案になる
② 親としての機能不全:成長して母親になっても、子どもに関心を持てず、時には虐待することもありました
③強い不安やストレス反応:新しい環境や刺激に過剰に怯える
これらの結果は、人間においても愛着の形成がどれほど重要かを示唆しています。
ハーロウの実験が問いかけるもの
ハーロウの実験は、心理学における愛着研究の礎となりました。
しかし、一方で動物実験の倫理的問題も浮き彫りにしました。
今日では、児童福祉や育児において、愛着形成の重要性は当然のこととされていますが、それを科学的に証明するために、多くの犠牲が伴ったことも忘れてはなりません。

愛がなければ、人はどこへ向かうのか?
この問いは、今もなお私たちの心に重くのしかかります。

そこに愛はあるんか?
最後まで閲覧いただきありがとうございました。
今回の記事があなたの役に立てれば幸いです。
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