心の守護者「防衛機制」とは
人は様々な欲望や欲求を持っています…
人は煩悩の化身です…
しかし、その欲望や欲求は必ずしも満たされるわけではありません。
そんな時、人の心に備わっている
「防衛機制」が発動し無意識にあなたの心を守ってくれます。
防衛機制とは…
受け入れ難い物事や記憶、それに伴う感情や衝動を意識から追い出し無意識に閉じ込める働きです。
防衛機制は心が傷つくのを防ぐために、様々な方法でストレスに対処してくれます。
今回はこの「防衛機制」を22個、ドドーンと分かりやすく解説していきます。
「防衛機制」を知ることが自他の理解を深めることに繋がるでしょう。
22の様々な心を守る仕組み
●同一化
ある対象者の髪型や言動をマネして自身に取り入れることで、安心感を得ようとします。
子どもが親の口調をマネるのもこれにあたります。
●投影・投射
自分の感情や願望を相手の気持ちとして移します。
嫌なことは自分ではなく相手が持っていると思い込むことで罪悪感が軽減されます。
例えば…ヤキモチの強い人ほど浮気願望が強かったり、極端に男性を嫌う女性にも性的関心の投射が行われている場合があります。
●攻撃
欲求不満への対抗処置として用いられます。
また不愉快な感情や思考が湧き上がるのを防ぐために利用されることもあります。
●否認
不快、不満、恐怖から目を背け回避する心理機制です。
「我が子の死」や「病気であること」などの問題を認めないことも「否認」に該当します。
●解離
記憶や罪悪感、人格を忘れることです。
例えば…過去に受けた酷い虐待を幼児期の嫌な感情に対する防衛として、忘れて意識しないようにすることです。
また、いじめにあったことを覚えていないことも解離と言えます。
●退行
受け入れ難いストレスによって、子どもっぽく振る舞ったり、酔っ払った際に人に抱きつく。昔の自慢話をする。チヤホヤして欲しいというのも退行になります。
●逃避・回避
適応出来ない状況から逃げ出すことで不安や恐怖を無くし、自分を守ろうとする心理的な働きです。
例えば…「テストの前日に限って部屋の掃除をする」「重要な仕事がある日に体調を崩す」などが考えられます。
●転換・アクティング・アウト(行動化)
欲求不満に対して短絡的に行動や身体症状化する「ヒステリー」と言われる反応のことです。
「嫌なことを無理やりすると胃や頭が痛くなる」「上司に注意され、無断欠勤しする」などが考えられます。
●抑圧
防衛機制の基礎となり、不快な現実を無意識へ押し込める機制で「忘れる」「考えない」などの形を取ることが多いです。
怒りや悲しみの感情があまりにも強いと何も感じなくなることもあります。
また、人は不愉快、不都合な事実を記憶から消し去りたいという潜在的な欲求があり、気が乗らない約束の日時を間違えたり、嫌な人の名前を忘れるのも一種の抑圧です(失錯行為)
●隔離
嫌なことについての「感情を切り離し」感じないようにすることです。事実と感情を切り離すことで不安、不快から逃れる機制です。
●置き換え
不快なことから感情だけを引き離し、その感情をより罪悪感の少ない対象へと向けることです。先生に叱られて腹の立つ感情を、後輩に八つ当たりするようなことがあげられます。
●反動形成
不安を引き起こすことが、逆の態度へと置き換えられることです。
好きな異性をわざと見ないようにしたり、興味があっても無いように振る舞う行為があります。
嫌いな相手に逆に親切にしてしまうのもこの反動形成が働いています。
●打ち消し
不安な出来事を打ち消す行為で無意識化しようとする機制です。
お祓いや清めの儀式を行うこともこれに入ります。
●価値の切り下げ
自己評価の維持のために、他者を軽蔑し過度に無価値な存在として扱う機制です。
●具体化
問題の原因を具体的で物質的な物にすることです。
自身の鬱の原因を結婚生活にあると考える代わりにホルモンバランスの影響のせいにするなどです。
●集団形成
個人的な関係から来るストレスを避けるために、集団の中にいることを求めること。
●禁欲
異性に人間的関係を求めても不安、怒り、恥を感じることから持続的に性的関係を避けようとします。
●合理化
自分のとった行動を他人に非難されないように説明を加えることです。
失恋した人が「どうせあの人とは性格が合わなかった」と考えるのも合理化になります。
イソップ童話の「酸っぱいブドウとキツネ」が有名。
●補償
他人より精神的、肉体的に劣っていると思い込んでいる機能をカバーしようとする機制、自身の劣等感を埋める行為です。
例として…「勉強が苦手な人がスポーツに集中して良い成績を収める」「必要以上に男性と張り合う女性」「流行ばかり追いかける」「仕事に専念するために結婚はしない」などがあります。
●代償
本来の目標が獲得できなかった時、その代わりの満足を与えてくれそうな目標、対象を代償として求める。
「子どものいない夫婦がペットを溺愛する」ことは代償として考えられます。
●知性化
知性というルートで経験不足や不安を抑える。知的好奇心を満たし、競争心、支配欲、自己満足感も満たすことができる。
●昇華
不安や怒りを社会的に有意義なことへのエネルギー源とする機制です。
例えば…「失恋して勉強で奮起する」「性的欲望をスポーツに振り向ける」「怒りの感情を創作で表現する」などです。
いかがだったでしょうか、思い当たる節がいくつかあったのではないでしょうか?
ここでは簡単に説明しましたが「防衛機制」は奥が深く、千差万別です。
自身や他人の何気ない言動の裏には、本人も知り得ない心の動きがあります。
これらを完全に理解することは困難ですが、
人の性格や対人関係、思考パターンに「防衛機制」は大きく関わっています。
「防衛機制」は心の動きを理解するための「鍵」であると言えるでしょう。
今回の記事があなたの役に立てれば幸いです。
最後まで閲覧いただきありがとうございました!
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